つきまとい行為(Stalking)に対して、『ストーカー行為等の規制等に関する法律』(2000年(平成12年)5月24日)を基に、地方公共団体でもストーカー行為を刑事罰に規定した迷惑防止条例を制定しています。ストーカー関連事案の発生数は、2021年度約2万件(警察庁)で例年とほぼ同数となっており、減少する兆しは全く見えてません。
付き纏いや待ち伏せ、面会や交際要求、無言電話や連続電話やメール等のストーカー行為を受けた場合は、被害者は加害者との面識の有無に関わらず、第1段階として自助の精神を発揮して自分の5感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)のセンシング情報を活用して身の安全を確保することが必要不可欠です。また、自分だけで解決できない場合は、第2段階として警察に相談し、加害者への警告や禁止命令や緊急警報装置貸与等の共助体制を組んで連携して対処することが必須となります。
尚、最新のスマホには、音声による110番通報でなく、自分の位置や文字や画像で警察に緊急SOSとして通報できる機能が搭載されています。基本的には、脅威に遭遇した後に使用するため、ストーカー行為のような遭遇した事実が不明な目に見えない脅威に対しては効果がありません。
2023年1月16日 福岡市博多区の博多駅近くで女性が男に刺され、殺害された事件が発生しました。加害者は、元交際相手の31歳の男で、被害者は、去年10月以降「別れを告げても納得しない」、「職場に来たり、相手からの着信がある」と警察に相談していました。警察は、加害者には去年11月にストーカー規制法に基づき、『禁止命令』を出し、また、被害者には『緊急通報装置』を貸与したり自宅周辺をパトロールする等の「必要な措置は講じていた」としています。
事件発生時には、緊急通報装置作動は無く、加害者逮捕の決め手は犯行現場に残した傘の指紋と近傍に設置されていた監視カメラ映像でした。
身の安全確保は、知的活動プロセスを構成する認知・判断・行動の3つの要素プロセスが基本となっています。
1.認知プロセス
・加害者が被害者に接近した際に、被害者は加害者の存在や気配に気付く。
2.判断プロセス
・自助もしくは共助の観点で予め検討していた回避行動案の一つを選択する。
3.行動プロセス
・身の安全確保を最優先として選択した行動案を慎重に実行する。
実際は、上記知的活動プロセスに関して以下のような課題に直面します。
<認知プロセスの課題>
・人の目は、昼間の前方視認特性に優れた視覚を持っているが、夜間や後方視認等の目に見えない脅威の発見は困難
⇒ストーカーの付き纏いや待ち伏せに被害者が確実に気付くことは不可能
<判断プロセスの課題>
・被害者は、ネガティブな感情(嫌い、怒、哀)を抱き警戒心が高まるが、恐怖心や嫌悪感が先走り興奮
⇒適切な回避行動案を冷静に選択不可能
<行動プロセスの課題>
・今回発生した殺人事件のように、被害者は警察から貸与されていた緊急通報装置を利用する猶予もなく殺害される
⇒緊急時に選択した回避行動案を十分活用できるかは状況に依存
上述の認知プロセスの課題に対する対策案について、第1段階の自助と第2段階の共助の観点から検討すると、
① スマホの利用
・被害者と加害者がGPS付きスマホを所有
・BTペアリング機能を利用
⇒被害者が加害者に知られることなく自分のパーソナルエリア内の加害者の存在を検知
⇒自助および共助に有効
② GPSの利用
・GPS付きスマホやGPSアンクレット等による加害者の常時位置監視
・警察と連携が必須であり、第2段階の共助として活用
⇒共助に有効(GPSアンクレットは、2026年度以降に運用予定)
従って、GPSアンクレット装置が実運用されるまでは、①のスマホ利用シーンを想定し認知能力の向上を目指すことがリーズナブルなソリューションとなります。
尚、被害者が警察に相談した時点で加害者へ警告した場合には、加害者は被害者へのストーカー行為を行う際にはスマホ非携帯となる可能性が大きくなります。加害者検知は、街中の監視カメラ映像による常時加害者監視案も検討可能ですが、コスト面での負荷が多く困難です。従って、スマホ非携帯の場合は、加害者検知は被害者の5感のみに依存せざるを得ず、加害者のGPSアンクレットの着用義務化は必須です。
ストーカーが被害者のパーソナルエリアに接近した際に、その接近時間や被害者のネガティブな感情(怒、哀)等の監視情報を元に被害者のBT付きスマホに速やかに注意喚起情報を提供します。
BT(Bluetooth)は、PAN(Personal Area Network)の代表的な通信システムです。監視情報の一つである接近時間は、BTのペアリング機能に注目しストーカに知られることなく被害者のスマホでセンシングします。ネガティブな感情は、スマホディスプレーの専用ボタンでタッチ入力します。
当社の見守りセンターでは、収集したセンシング情報を元に被害者のスマホ向け注意喚起情報を生成すると同時にストーカー接近情報として警察に連絡します。
<利用目的>
・ストーカー対策
⇒被害者の認知・判断能力の向上
<サービス対象者>
・ストーカー被害者
<利用方法>
・被害者と加害者は、BT搭載スマホを携帯
・被害者と加害者のスマホ間のBTペアリングリスト(White&Black)生成
・Blackリストから加害者のスマホをペアリング候補として選択
・被害者のネガティブな感情(嫌い、怒、哀)を体感脅威度としてスマホディスプレイでタッチ入力
⇒被害者のパーソナルエリア内の加害者の存在情報とその際の体感脅威度を把握
<特徴>
①安全性:個人情報保護
・加害者には、被害者が加害者を監視対象にしていることは不明
・誰もが本アプリを常用することにより、加害者のストーカー行動を抑止
②快適性
・見守りセンターから適時注意喚起情報を受信
本アプリは、ストーカー被害者が高い体感品質(QoE:Quality of Experience )を得ることが期待できます。具体的には、監視情報を被害者のパーソナルエリア内加害者の存在情報に加えて被害者の感情としたことにより、認知プロセスで必要不可欠な、
・加害者の接近と被害者の体感脅威度の情報収集
が可能なります。また、判断プロセスにおいても
・感情の起伏に左右されない的確な回避行動選択
が可能になります。
本アプリによるストーカー行為の認知能力向上は、特に、自助段階でのストーカー行為に対する抑止効果が期待され、現にストーカー被害に遭っている人だけではなく、今後遭遇する可能性のある人にも役立ちます。
自助は、自分の身の安全を自分で守ることであり、誰もが有すべき基本的な取組みです。スマホ社会において、本アプリをスマホにインストールすることにより、だれもが自助に積極的な姿勢を持つ安全・安心な社会の形成に繋がります。
<利用目的>
・ストーカー対策
⇒警察との共助体制の向上
<サービス対象者>
・ストーカー被害者
<利用方法>
・被害者は、BT搭載スマホと警察から貸与された緊急通報装置を携帯
・被害者のスマホと緊急通報装置間のBTペアリング
・加害者のスマホが緊急通報装置をタッチレスでON
⇒緊急通報装置の有効活用
<特徴>
・緊急通報装置が警察へ自動通報
・見守りセンターから警察へ連絡
被害者のスマホと緊急通報装置がBTペアリングされ、
・被害者はタッチレスで緊急通報装置から警察に自動通報
・女性がバック内に緊急通報装置を入れている場合でも警察に通報
等が可能になり、安全性は飛躍的に向上します。
監視情報を元に第3者機関である見守りセンターがその場の被害者の体感脅威度を客観的に判断し、被害者に注意喚起を促すことが可能になります。また、被害者は、具体的なストーカー事案の実例データを元に警察に相談することができます。さらに、 被害者への接近情報を元に、警察は加害者のGPSアンクレットの装着期間(延長・短縮)の管理が容易にできます。
SNSで仲間とシェア
玄人ネットワーク株式会社
〒367-039
埼玉県本庄市四季の里3-19-15
TEL:080-3007-5946
e-mail: info@epcn-kurouto.com