ビジネスへの利活用


仕事遂行力と経済的リスク耐久力


 65歳定年時代を迎え、60歳を過ぎて会社に残って活躍できる人、退職後に他社でも活躍できる人、「シニアでも引っ張りだこ」の人には、目線の低さ、現場力、問題解決能力3つの共通項があり、やはり最後は人柄と言われています。(野村浩子:日経ビジネスオンライン:2013年3月22日)

 

 これらのアクティブシニアは、年金収入に加えて企業から毎月数十万円の顧問収入を得て、退職金の目減りを抑え悠々自適な生活を過ごすことができます。しかしながら、そんな恵まれた人は極僅かです。特に、技術者・研究者は、現役時代に人付き合いよりも技術に拘り、人脈作りが下手な方が多いのも事実です。退職後に仕事はしたくても、どこからも声がかからないケースが多々あります。

 

 退職後も仕事を継続するには、退職金がまだ残っているうちに、少なくとも年金受給年齢になる前に自力で仕事を探すことが必要です。自分の仕事の遂行力(体力×気力×知力)経済的なリスク耐久力を考慮し、全て自己責任で慎重に仕事を選択すべきです。


先人に学び、先人を超える


孔子


 紀元前551年に魯国、現在の山東省曲阜市に生まれる。父は既に70歳を超えていた軍人戦士、母は身分の低い16歳の巫女であったとされる。幼くして父を失い、家計を支えるために多くの仕事に従事しながら礼学を修める。

 紀元前534年、19歳のときに結婚し、その後、魯に使える。36歳のときに内乱により君主が斉へ国外追放され、孔子もあとを追って斉に亡命。魯に帰国すると、多くの弟子が集まり始め、孔子は弟子の教育に専念する。

 紀元前501年、52歳のときに中都の宰(長官)に取り立てれらる。その実績により、最高裁判官である大司寇および外交官に就任。しかし政治改革を試みて失敗し、失脚。

 紀元前497年、自分の理想を受け入れてくれる主君を求め、弟子とともに諸国巡遊の旅に出る。しかし、孔子の教えに耳を貸す諸侯も現れず、紀元前484年、69歳のときに14年にわたる亡命・遊説の旅を経て魯に帰国。

 帰国後は、詩書など古典研究の整理を行い、紀元前479年、74歳で死去。孔子の教えは、弟子の手によって『論語』にまとめられる。孔子には、3,500人の弟子がおり、その死後、孟子(性善説)、荀子(性悪説)などの後継者を多数輩出した。

論語

吾十有五にして学に志し(志学)、三十にして立ち(而立)、四十にして惑わず(不惑)、五十にして天命を知る(知命)。六十にして耳順(したが)い(耳順)、七十にして心の欲する所に従いて矩(のり)を踰(こ)えず(従心) 


シニアへの教訓


 孔子は、2500年を経た現代にも通じる教訓を遺してくれました。40代は全力を尽くして自分の知識を切磋琢磨し、52歳から69歳まで自分の知識資産の利活用を世にアピールしました。17年間のビジネス活動期間で、当初の3年間は順調でしたが、残りの14年間は必死の努力にもかかわらず不本意な成果しか出せませんでした。

 

 しかし、アクティブシニアとして、仕事の遂行力と経済的なリスク耐久力は確実に有していました。その結果、70歳を過ぎた晩年に自分の好きなように行動しても世の中の道徳を踏み外すことがなくなったと語る彼の姿に、自己実現を果たした一人の人としての生き様と人生観が溢れています。


葛飾北斎


 富嶽三十六景や北斎漫画で世界的にも著名な画家として有名な葛飾北斎(1760年10月31日~1849年5月10日)。72歳の時に描いた「神奈川沖浪裏」は、「Great Wave」として「モナリザ」に匹敵する名画として世界的に高評価されています。  

 絵手本『富嶽百景』初編の最後にある75歳の時の跋文には、「70歳以前までに描いた絵は取るに足らないもので、73歳にしてようやく動植物の骨格や出生を悟ることができた」との記述が有り、「80歳ではさらに成長し、90歳で絵の奥意を極め、100歳で神妙の域に到達し、百何十歳になれば1点1格が生きているようになるだろう」との気概を示しています。

 

 (http://hokusai-museum.jp/modules/Page/pages/view/401)



生涯現役


 これからのIoT時代には、自分の知識資産を広く社会に容易にアピールできます。また、当時よりも平均寿命が延びた現代では、「従心」の心境に達するまでの時間も十分あります。

 

 生涯現役の心意気で自分の資産価値を見直し、積極的にビジネスへ利活用することが知的生活をエンジョイする秘訣の一つになります。


仕事の遂行力


 優れた独創性や創意工夫の能力は、イノベーター個人に属する知識資産です。

 

 退職エキスパートの特徴は、

知力>気力>体力

・組織に帰属していない

・全て自己責任

です。

 

 ここで最大の課題となるのが、退職エキスパートの気力維持です。現実問題として、時間が経つにつれて減る退職金や将来の年金の不安定受給が心配になります。しかしながら、退職後の悠々自適な生活の慣れてしまえば、敢えて現役時代の時間に追われる過酷で責任の重い仕事を再開する気力が沸きません。

 

 退職エキスパートの気力、即ちビジネスマインドは、持続的イノベーション活動により自分自身の知力を磨くと同時に新たに創出した知識資産が社会貢献の一助になることを歓迎できるか否かがポイントとなります。「豚もおだてりゃ木に登る」。古今東西、人は褒めそやしてご機嫌を取れば、才能を発揮して思いがけない成果をもたらします。


経済的リスク耐久力


 退職エキスパートの知識資産が、企業現役イノベーターのニーズにマッチし新商品創出に繋がり、感謝の言葉と成功報酬を得る仕組みが存在していませんでした。

 

 当社は、退職エキスパートが知力を発揮して知識資産を創出し現役イノベーターがそれを有効に利活用する仕組みを開発し、知識資産利活用サービスとして提供しています。本サービスの利用により、アクティブシニアは仕事の遂行力と経済的リスク耐久力を備え、定年後の4分の1世紀の間は豊かな知的生活を楽しむ特権を持つことができます。